方便品(ほうべんほん)
 

 

 見返し絵は、葦(あし)の生い茂る水辺(すいへん)。
ところどころの岩は「加」の字。上方に一枚の板。
その両端に不思議な穴が見える。下段のあたり、洲浜形(すはまがた)にかたどり、「め」の字様(じよう)がある。これは、「盲亀浮木」(もうきふぼく)の仏教説話の絵画化。「加」と「め」を合した「かめ」(亀)は 盲(めしい)の亀。
板と見るのは浮木(うきぎ)である。大海の中、眼の見えない亀が百年に一度だけ水面に浮かび上がり、漂(ただよ)う浮木の一つの穴に入ろうとする。が、なかなか入れない。つまり、仏や仏の教えにはなかなか巡り会えないことの譬(たと)え。『涅槃(ねはん)経』や『法華経』の「厳王品(ごんのうほん)第二十七」にその経句が見える。

 
 
 
     
 
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