正しくは「見宝塔品(けんほうとうほん)」で、「宝塔を見る」の意。原語は「宝塔の出現」、仏陀(ぶつだ)(釈迦)の復活を説く。表紙・見返しともに装飾図案。
ことに表紙は銀地に花弁(かべん)を四つに集めた※文様(かもんよう)を、群青(ぐんじょう)(ラピスラズリの粉末)で描く。もとは、中国・唐代の官吏の衣服(いふく)の官用文様であったという。その上に紗(しゃ)(生糸(きいと)のからみ織り)を張って、透(す)けた美的効果をねらう。が、いまは伝世の間に朽損して、ほとんど失せている。見返しは、同じく銀地に大きな小花唐草文様(こはなからくさもんよう)がのびやかに描かれる。
宝塔にちなみ、一行十七字詰の経句を一塔に見立てているのが珍しい。
裏面の華麗な装飾も抜群。
※穴冠に果 |