涌出品(ゆじゅつほん)
     
 
     
 
 
涌出品(ゆじゅつほん)
 

 

 この品は「大地(だいち)の割れ目から涌(わ)き出た無量(むりょう)百千万億(おく)の菩薩(ぼさつ)は、仏(ほとけ)が過去において教化(きょうけ)した」と説く。この品(ほん)の見返し絵としては、むしろ「妙音品」の画がその経意(きょうい)にふさわしく、伝来途次に錯簡(さっかん)(入れ替わる)したか、と考えられていた。が、それは小さな阿弥陀仏であるので、かならずしもそうとは言えない。この絵は普賢十羅刹女(ふげんじゅうらせつにょ)(『法華経』を守護する普賢菩薩に従う十人の鬼女(きじょ))の「黒歯(こくし)」に仮託(かたく)して王朝女性の姿に描かれる。十羅刹女が『法華経』の受持者(じゅじしゃ)(信者)を護(まも)ると説かれるところから、ことに女性の讃嘆(さんだん)信仰の反映を物語る。
鎌倉時代(十三世紀)に普賢十羅刹女仏画の流行の先例を示す。

 
 
 
     
 
表紙
   
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