このコーナーでは気になる新人アーティストや、インディペンデントで活動しているアーティストを独断で(笑)ご紹介していきます。また、音楽プロデュースに関わる裏方稼業にも触れますので、ご質問等ありましたらどんどんお寄せ下さい。
筆者:増渕東(音楽制作者)ミュージシャンを経て大手音楽制作会社から'87年にCBSソニー入社。'96年ワーナー・ミュージックに移り'00年独立し、音楽制作会社 Laquia inc.を設立。自身のHPでのブログ「ぶっちーのプロデュース日記」は毎日更新中。http://www.laquia.co.jp/

No.14 [Bears Luck]
 継続は力なり、という言葉がある。何かを持続しやり続ければ道が開かれるという意味だろうか?私個人としては、ただ続ける事の難しさを知ると、意識の基礎体力みたいなものが培われる、と解釈している。それでは、いつ結果が出るのか?という疑問が沸いてきそうだが、何かを続けるその先に、結果を期待していたら何も訪れては来ない気がする。結果はプロセスが大事なのでは決してない。プロセスばかりに気を取られていると、もの凄く遠回りしてしまうものだ。話を「継続」に戻そう。何かを継続していると、そこに知識や経験が養われる。だが、もっと大きな発見は「楽しさ」が沸き上がることだろう。ストリートに拘り続けるウイークエンド・バンドがいる。Bears Luckだ。彼らは土日に毎週ほぼ欠かさずにストリート・ライブを敢行している。土曜日は新宿駅南口近辺。日曜日は原宿代々木公園近辺。私が知りうる限りでも4年位は続いていると思う。一言で4年(もっとかもしれないが)と言ってしまえば簡単だが、並大抵の「努力」では出来ないだろう。ましてや「いつか、 きっと」とか「何が何でもバンドで成功する」といった目標を掲げてしまったら、とうの昔に息切れを起こしていただろう。彼らBears Luckのメンバーは本当に音楽、ロックが好きなのだ。この「大好き」という想いが彼らをストリートへと導いている。現時点での新作「クラッカー」を聴いてみても、紅一点ボーカル「Juli」のコケティッシュだが力強い声と、そのバックを支えるギター・サウンドがぶっとくて、何も語らずとも、その「ロック 大好き!」を伺い知る事が出来る。そして現在レコーディングがほぼ終了しているという次作品には、Red Hot Chili PeppersやCheap Trickなどを手掛けたL.A在住のエンジニア、ケンジ・ナカイ氏を招聘しての作品となるそうだ。残す作業はナカイ氏の再来日を待ってのミックス・ダウンだそうだ。かなり楽しみな作品になる。ストリートで培われた経験は、ライブハウスでのライブで爆発する。楽器隊ギター、ベース、ドラムとボーカルのロック理想型編成での音圧は、その卓越した技術もあいまって、とても気持ちが良い。12月16日(日)新宿マーブルで本年最後のワンマン・ライブがある。私もロック大好き人間なので、久々「大好き」にどっぷりとハマってみたくなったぞ。
http://www.bearsluck.com/
No.13 [川久保秀一]
 先月号でパブなどで催されている「Open Mic」のことを書いたが、バブに限らず最近では、カフェなどでもアコースティック中心のライブを聴かせてくれる店も増えてきている。なかなか普段では触れる事の出来ない生楽器を、誰でも楽しめるようになってきたのは喜ばしいことだ。少し前のことだが、筆者の自宅近くのカフェでおこなわれていたライブで、旧知のアーティストとの再会を果たした。その方の名は川久保秀一さん。ライブでは相変わらずの甘い歌声と、その感性豊かであり、優しさが滲み出る人柄で、会場になった店内に一杯になったカフェのお客さんを魅了していた。旧知とはいっても、川久保さんのライブは初めて観させていただいたのだが、気心知れたミュージシャン達とのパフォーマンスは大人の男性の魅力に溢れていて、その場数の多さを垣間見たと共に、プロフェッショナル意識を強く感じた。川久保さんは1995年に男性デュオグループ"TWO of US"でソニーレコードよりデビュー。デビュー曲の「胸いっぱいの夏」がドラマの主題歌だったこともあり、スマッシュヒットしたので読者の中に憶えている方々もいらっしゃるのではないだろうか。その川久保さんから新作のCDが届いた。ソロ活動になってからの2nd Album、「マイルストーン」(DQC-10)。一聴してまずタイトル曲「マイルストーン」にやられてしまった。アルバム全体に「希望」というテーマを感じるのだが、この「マイルストーン」には「希望」に加えて、誰もが持つ「強さ」と「弱さ」とが混在している時の心の迷いが、虚飾の無い言葉で綴られている。川久保さんの持つ声が、その無防備なまでに込められた真摯なメッセージを、聞き手本人に投影させる。その声質なのだが、例えるなら、非常に繊細なシルクの糸を束ね、凝縮し、綱にしたような響きを持っている。だから儚く聴こえる楽曲も、どこか励まされている気持ちになれる。インスト1曲含め全8曲、まごうことなく名曲と呼べる曲ばかりである。打ち込みではない生楽器による演奏も暖かく心地よい。今、我が家ではヘビーローテーション中である(笑)。10月24日にリリースされるので、是非チェックしてほしい。他に最近、小説「海を抱いたビー玉」(著者=森沢明夫)のイメージ・ソングを作られて、本の出版記念イベントでミニ・ライブを行ったり、かわさきFM毎月第二第四土曜日「川久保秀一のRadio Uploader」でのDJ業など、もちろんライブ活動も精力に展開されているのでHPもチェックしてほしい。彼の人柄を伺い知ることが出来るブログもユニークですよ。
PC用http://www.kawakubo.net/・携帯用 http://www.kawakubo.net/mb
No.12 [BANKIN GARU]
 ここ数年、普段はライブハウスでないが、ライブを観ることが出来るお店が増えてきている。路上ライブなども、勿論そのような場なのだが、欧米ではポピュラーなイベントとなっている「Open Mic」をご存知だろうか?演奏出来るスペースがあるパブが、アーティストに表現場所を提供するシステムのことだ。週に何日か、お店は複数アーティストからの「Open Mic」への申し込みを受け、1アーティスト2〜3曲、15分程のパフォーマンスする時間が提供される。一晩に何組ものアーティストが出演する。そこで頻繁に出演しているうちに、パブに来るお客さんがファンになることも珍 しい事ではないようだ。ライブハウスのようにチャージ(入場料)が無い分、お客さんは手軽に音楽に触れる事が出来、またアーティストもノルマを心配することをせずに済む。とてもユニークなシステムだと思う。「Open Mic」は曜日や日にちによって、「Rock Night」や「Hip Hop」、「アコースティック」など一つのジャンルのイベント要素を持ち、お客さんの趣味嗜好にも答えているのもいい。東京・渋谷にある「Ruby Room」もそんなパブの一つだ。そこに「Open Mic」にレギュラーで演奏しているカッコいいロック・バンドの情報を得、早速観に行ってきた。バンド名はBANKIN GARU(バンキンガール)。決して広いとは言いがたい店だが、お客さんは大半の外国人を含め、ライブハウスの雰囲気とはガラリと違う。「バンキンガール」は4ピース・ロックバンド。結成以来、3ピースで活動してきたそうだが、今年リリースされた1st.アルバム「スバラシカヒビ」のリリース後、現在のメンバー構成になったようだ。サウンドは80年代を彷彿させるキャッチーなメロディーに、ストレートな歌詞が非常に耳に残る。CDジャケット帯に「めんたいロック!?」とあったが、クレジットを見るとプロデューサーに元サンハウス、SHEENA&ROCKETSの奈良敏博さんの名があり、少し納得。だが、筆者の聴いた印象はカラっとしたマンチェ系といったところだろうか。演奏が巧くて、結構イナたいプレイをしているのだが、それが微塵も泥臭くない。それは、ライブ演奏中のロックバンドに持っていてほしい「危うさ」が、バンキンガールのメンバー全員からほとばしって感じられるからだ。時に博多弁(ボーカル内山が博多出身)で歌う曲に合わせて外国人ファンが、日本語も分からないまま一緒になって声を張り上げ歌っているのが面白かった。確かに、バンキンガールが醸し出すグルーヴは、自然に身体が動いてくる心地よさがある。相当、カッコよかった。「Open Mic」での場数を軸に、ライブハウスでのワンマンも動員を急増させているバンキンガール。注目株だ。 http://bankingaru.goldengold.org/
No.11 [sooners/映画「ハケンジコウ」]
 先日、何の事前情報もなく、渋谷にあるライブハウスに赴いた。そこで、新鮮な風を感じさせてくれたバンドと出会った。スーナーズである。カテゴリー的にはギター・ポップ/ロック・バンドになるだろう。だが、そのスタイルは非常にオリジナリティに溢れている。編成は5人なのだが、このジャンルのみならず、昨今では珍しいツイン・ボーカル・スタイルをとっている。そのボーカルを担当する一人、鈴木圭一はシャウトするボーカル・スタイルなのだが、歌詞がしっかり聴き手に伝わる。ただ力任せに歌っているのではないのだ。ザラついた声が本当にロックで心地良い。もう一人のボーカル、志村尚行は鈴木とは対照的に触感が柔らかい声の持ち主。このスタイルの異なる2人が織りなす絶妙なハーモニーが、スーナーズの一番の魅力だろう。バンドが表現している歌詞世界は、ライブのMCでも鈴木が喋っていたが、不確定な未来へ夢想することなく、今という現実の地に足をしっかり付けている感じがする。ライブは本当に彼らの本領発揮だ。とにかく巧い。相当な練習量なのは手に取って分かる。しかも熱い波動が、嫌み無く客席を包み込む。昨年、"Tokyo Band Summit 2006"にて"KDDIデザイニング・スタジオ賞"を受賞し、KDDIラジオCMタイアップ獲得!現在東京FM"SCHOOL OF LOCK"番組内CMに出演中である。この8月19日(日)渋谷O-Crestで待望のワンマンがある。間違いなく満員の会場で、私もスーナーズ・ワールドに引き込まれ、真夏より熱い汗をかくことだろう。今年のイチオシ・バンドだ。http://www5b.biglobe.ne.jp/~sooners/
 一般家庭にインターネットが普及して約10年が経ちます。その恩恵として、エンターテンメントや生活などで欲しい情報は、手軽に観たり知ったりすることが出来るようになりました。そして、映画というエンターテインメントの世界でも一切の課金なし、つまりタダで、インターネット回線を通してコンピュータで観られるようになりました。今回はその映画のご紹介をしたいと思います。
 ご紹介する映画のタイトルは「ハケンジコウ」。この製作総指揮を執るのは人材派遣会社の株式会社ウィズ。2030年の近未来を舞台にしたサイバーSF映画です。監督は新進気鋭の注目株、遠藤一平。筆者はこの映画のサウンドトラックを手伝わせて頂きました。主演は大西結花さん、中康次さん。助演にはあんじさん、そして異色のところではダイヤモンド☆ユカイさんが出演されてます。ストーリーは観てのお楽しみということですが、CGをふんだんに駆使した映像の迫力も、この映画の大きな見所の一つです。非常に新しいシステムのエンターテインメント制作の誕生だと思います。今後、この方式の映画製作は急速に伸びていくでしょう。著作権等の整備が完全でない部分も否定は出来ませんが、この方式が音楽にも波及してゆくのではないでしょうか。時代をチェックしていたいと思います。 http://www.qjintv.com/with/
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